エコキュート概要の解明

2020年7月12日


エコキュート 概要

エコキュートの正式名称は自然冷媒ヒートポンプ給湯機とされております。
エコキュートの名称は日本の電力会社・給湯機メーカーが使用している愛称で関西電力の登録商標になります。

デンソーなどの基本特許を基に2001年4月にコロナが世界で初めて発売しました。
翌2002年に前年平成13年度分としてコロナを含む複数の企業などに同時に省エネ大賞の経済産業大臣賞が授与されました。

市場全体での累計出荷台数は2007年9月に100万台で2009年10月には200万台を突破しました。2014年1月には400万台が普及しました。
ヒートポンプの低周波騒音による近隣への健康被害も公的機関や報道で取り上げられ、訴訟に発展したケースもありエコキュートに限らずヒートポンプを使用する各種のエコシステムの設置位置には十分な検討が必要があるとされています。

エコキュート構造

ヒートポンプユニットと貯湯タンクで構成されます。
ヒートポンプユニットのコンプレッサーは圧力が10MPaを超える高圧であるため、2重構造の2段圧縮となっております。

1段目の圧縮吐出圧力が2段目の圧縮部の外殻に加わり、圧力で押さえ込む構造となっています。冷媒に二酸化炭素 (CO2、R744) を用いています。

ファンを回転させ外気をヒートポンプ内に取込み、ユニット内のCO2を暖めます。
ここではより高温の外気から熱交換器を介してより低温の冷媒を暖める。

外気の熱エネルギーを冷媒に取り込みます。
暖められたCO2を圧縮機に送り圧縮することで、約90℃の高温になります。

この高温になったCO2を別の熱交換器を介してタンクの水を温めます。
冷媒の熱エネルギーを水に転移し湯となります。

その後CO2を膨張弁にかけて膨張させ低温にします。
ファンを回転させることを除けば基本的に圧縮機駆動に電力が使われるのみであり、外気の熱を汲み上げるという意味からヒートポンプと呼ばれます。

通常の電熱機器より発熱の効率が3倍から5倍良好で、外気温が下がると能率が低下し他熱源とのコストメリットが低下する特徴があります。

メリット

ヒートポンプは電力を使って大気の熱をくみ上げる事ができ、主にエアコンなどの空調に利用されてきた技術として広く知られています。

エコキュートはそのヒートポンプ技術を使った給湯器になります。
エコキュートの年間平均機器効率が約300%であれば発電効率が33%以上の火力発電所で発電した場合はガスを使った従来式燃焼式給湯器より省エネルギーとなる計算が可能であります。

燃焼型給湯機器と比較して機器が高価ですが、割安な深夜電力を使用すれば燃焼型給湯器に比べ運転費用が抑えられます。
ヒートポンプの特性で気温が高いほうが効率が良くなるが、オール電化住宅で用いられる時間帯別電灯契約では昼間に料金が高いので通常は深夜電力を用いる形をとります。

貯湯中の放熱ロスが発生するので昼間に太陽光発電の余剰電力をエコキュートで利用すれば効率がさらに向上するという分析結果がございます。
給湯の他に床暖房浴室暖房乾燥も可能な多機能型エコキュートや床暖房専用のヒートポンプ機器も存在します。

ヒートポンプは冷蔵庫やエアコンに広く利用されている技術です。
元々は脱フロン化のために二酸化炭素を冷媒としたカーエアコン用として開発されてガス圧力が非常に高くコンプレッサーが二段になるなど装置が重くなる点や、凝縮器が高温でカーエアコンには不向きであったものを湯沸かし用途に転用したものとされております。

二酸化炭素は地球温暖化係数が1と、代替フロンの 1300 や 675 と比べて環境負荷が低く、不燃性なのでガス漏れしても安全です。
タンクに湯を貯める仕組みから、断水してもタンクの水を非常用水として活用できます。

デメリット

他のヒートポンプ機器と同様に低周波騒音の原因になりえます。
機器が複雑で故障が多い点があげられます。

主な故障はコンプレッサー故障、キャピラリーの詰まり、電磁弁不良、パッキングやホース類からの水漏れなどになります。
冷媒ガス圧力が高圧なため、冷媒ガス抜けの場合再充填出来ません。

空気熱を利用するため冬は効率が低下し光熱費が高くなります。
貯湯タンクのためのスペースを必要とします。

炊き上がりは早朝で大量の給湯が必要なタイミングは概ね12~18時間前後経過した頃のため、貯湯している間の放熱ロスが出てしまいます。
貯湯式給湯器全般減圧弁を設置するので圧力が低くなります、これが急激な給水をすると貯湯タンクが撹拌され温度低下を防ぐ効果がございます。

水質によってはステンレス槽でも不純物混入によるもらい錆や、ツマリによって耐用年数が低下する場合がございます。
生活パターンなどによってはエネルギーの無駄遣いにつながることがあり、トラブルが発生しております。

販売状況

2002年8月には従来の家庭用に加えて東京電力と西淀空調機が共同で業務用エコキュートの開発して日本イトミック他数社が販売を開始しました。
日本以外ではこのCO2を冷媒にしたカーエアコンの研究が進んでおり、R744ではCO2冷媒を利用したヒートポンプに特化した情報の発信を欧州中心に行っています。

2009年11月に電気事業連合会は出荷台数が10月末累積200万台に達し、これらの稼働により森林面積9400 km2のCO2吸収量に値するとしました。
2014年7月にパナソニック製エコキュート208機種103万台がコンプレッサー断熱材に水がたまり、コンプレッサーが腐食変形して破裂する事例が5件発生したためにリコールされました。

健康被害

深夜にコンプレッサーを稼動させるため低周波による騒音が発生します。
現在主流の防音措置では防ぐことが困難であり、対策は容易ではありません。

2010年に環境省は低周波の人体への影響について調査を始めました。
業界団体では2011年春までに設置場所や設置方法等をガイドラインにまとめるとともに各メーカーは静粛化に力を入れるとしました。

2012年11月には消費者安全調査委員会がエコキュートの低周波音によるものとして健康被害を訴える申し出を調査対象に選びました。

2年に及ぶ調査検討の結果エコキュート撤去後に被害者の症状が改善したことから、2014年12月に健康被害の原因は給湯機の運転音である可能性が高いとの調査結果を発表しました。

メーカー

家庭用
パナソニック
コロナ
三菱電機
東芝キャリア
ダイキン工業
日立アプライアンス
ハウステック
三洋電機
サンデン
長府製作所
タカラスタンダード
キューヘン
長州産業
中国電機製造
四変テック
朝日ソーラー

業務用
日本イトミック
イトミック環境システム
前川製作所
昭和鉄工
日本サーモエナー
東芝キャリア
日立アプライアンス
パナソニック
三菱電機
三菱電機冷熱機器販売
三菱重工冷熱
菱熱
関電工
トーエネック
北日本電線
北陸電気工事
四変テック
ネスター
イタバシエンタープライズ
ダイキン工業

その他

2010年から2017年にかけてパナソニックが製造したエコキュートに於いて、圧力が過度に上昇した際に切れるスイッチが通常時でも誤作動して電流が流れなくなり給湯器が作動しなくなるトラブルが相次いだ背景があります。

これについてパナソニックが2010年から2017年にかけて約11万7,600件の不具合に対応する必要が生じたとして、製造元の鷺宮製作所に対し大阪地方裁判所に訴訟を提起しました。

これに対し鷺宮製作所側もスイッチの原料となる樹脂を旧パナソニック電工から仕入れたが、その樹脂から発生したアンモニアが不具合の原因と主張し反訴しました。
その後2018年8月付で鷺宮製作所側が解決金として13億円を支払うことで和解が成立したことが明らかになりました。

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