蓄電池を検証する
2020年7月9日
家庭用蓄電池はその名称から分かるように電気を蓄えておくことができる住宅設備でございます。
日々の稼働に大量の電力を必要とする工場などのバックアップ電源として活用されていた設備なのですが、東日本大震災以降一般住宅でも非常時の電源確保の重要性が注目されて徐々にその需要が高くなっています。
様々な営業会社が積極的に蓄電池の販売をしていることもあり、蓄電池の導入を迷っている方もいるのではないでしょうか。
もともと自然災害などの停電時に最低限の電力を確保できるといった、非常用設備面で注目され始めた蓄電池なのですが、最近では光熱費削減効果を重視して導入を検討する方が増えているからです。
災害時の備えとして蓄電池の導入を検討しているのであれば迷わず導入するのがオススメです。
日々の光熱費削減効果で蓄電池の経済性を考慮して導入を検討しているという方は、よくシミュレーションした上で購入しなければ後悔してしまいます。
蓄電池単体の導入
ここ数年では電気代削減目的とその経済性をメリットとして紹介されることが増えてきている傾向がございます。
家庭用蓄電池を導入して既存の住宅設備などと上手に連携させることができれば、それなりに大きな経済効果が得られるのも間違いございません。
ただ、蓄電池の導入コストを確実に取り戻せるかは微妙なケースも少なくありません。
家庭用蓄電池に関しては注目され始めたのもここ10年程度の話ですし、住宅設備としてもまだまだ決して安く導入できるようなものでもないのです。
家庭用蓄電池はあくまでも電気を蓄えておく設備であり、これ単体では何の経済性もないという事実がございます。
太陽光発電と連携させるたり深夜帯が安い電気料金プランを活用して、その他の設備やサービスと連携させることで初めて得られるものです。
経済性の高さを実感できるご家庭がある一方、全く経済効果が得られなかったご家庭も少なくございません。
導入コスト
蓄電池は単体で経済効果が無い設備なのにもかかわらず、多額の導入コストがかかるというデメリットが存在します。
小型で低価格なことを売りにした家庭用蓄電池も登場していますが、低価格モデルのほとんどは蓄電容量が小さくて電気代削減効を得るのが難しいタイプになります。
日々の電気代削減などを考えた場合は安い夜間電力を蓄電池に溜めて昼間に使用するといった使い方をしなければならないので、それなりに大きな蓄電容量が必要不可欠です。
十分な蓄電容量を持ったものは設置工事費用を含めれば100万円以上の導入コストになるのが通常で、日々の電気代削減のみでかけたコストを取り戻すのはかなり難しくなります。
蓄電池は10~15年程度が寿命とされていて大家族で月々の電気代の高さに悩んでいる場合であれば、夜間電力の格差を利用した手法でも長期的に見ればお得になるでしょう。
一般的な家族構成でそれなりの電気使用量となるとなかなかかけたコストを取り戻すのが難しいと考えておきましょう。
経済効果
家庭用蓄電池を販売している会社では蓄電池があたかも非常に高い経済性を持っているような説明のされ方がなされています。
蓄電池を導入しなければ損をするといった営業トークを訪問販売会社がよく使うこともあるように、非常用設備としてではなく経済性の高い設備として考えられるようになってきている現状があります。
家庭用蓄電池は単体では何の経済性も無い設備だということは事実としてあります。
太陽光発電は電力を発電することができるので売電や自家消費で非常に高い経済性があるといえるのですが、蓄電池は電気を蓄えることしかできません。
蓄電池の導入を検討した際には現在どういった住宅設備が導入されているのかが非常に重要です。
太陽光発電設備がすでに導入されているご家庭であれば、発電した電気を蓄電池に溜めておいてそれを夜間に使用する事ができます。固定価格買取制度終了で売電価格が下がってしまったため、売電していた電気を自家消費に回す使い方をすれば非常に大きな経済効果を得られます。
こういった設備もなく蓄電池単体で導入を検討している場合には、そこまで大きな電気代削減効果は得られないと考えた方が良いです。蓄電池単体で運用する場合は電力会社が用意している深夜帯の電気代が格安になる料金プランを活用することになります。
まずはどれほどの電気代削減効果が得られるのかをきちんとシミュレーションしてみましょう。
設置スペースと寿命が大事!
蓄電池を導入するためには機器を設置するためのスペースを確保しなければいけません。
最近では屋内設置型の蓄電池が登場していますが屋内設置タイプでも非常に重量のある設備となるため、床面がその重さに耐えられるのかきちんと調査してもらう必要がございます。
どのような住宅設備でもその設備の寿命というものが存在しており、蓄電池の場合は10~15年程度で買い替えが必要になると考えておくべきでしょう。
蓄電池の寿命はサイクル回数というもので表されており、これは残量100%の満充電から残量0%の完全放電までを行える回数を示しております。
サイクル回数が6,000サイクルの蓄電池の場合は1日1サイクル使用したとして約15年程度使用できるという計算が可能です。
オススメ
あくまでも全ての人に家庭用蓄電池の導入がオススメ出来るというわけではないというだけで、ご家庭によっては非常に大きなメリットが得られる設備となるのも確かなのです。
家庭用蓄電池の導入がオススメ出来るご家庭がどのようなご家庭かご案内させて頂きます。
停電対策
地震や台風などの自然災害によって引き起こされる停電に備えたい方にはおススメです。
非常用設備として蓄電池の導入を検討しているという方であれば、迷わず購入しても良いでしょう。
蓄電池は電気を蓄えておくことができる設備ですので、自然災害による停電が発生した場合でも最低限の電力確保が可能となります。
蓄電池にも種類が存在しており蓄電容量や使用できる家電等、購入する機種によって変わってくる点には注意が必要です。
災害対策として蓄電池を購入する場合には停電時に使用したい家電や容量をよく考えて、必要なスペックを持つ蓄電池を探す必要がございます。
太陽光発電設備のフル活用
蓄電池は太陽光発電設備と非常に相性の良い住宅設備です。
太陽光発電は日光を電力に変換する設備で家庭で使用する電気を自家発電することで大きな経済効果が得られます。
しかし、太陽光発電は日射が無い夜間や悪天候時は発電することができない弱点があります。
家庭用蓄電池は単体では発電することができない点が弱点です。
家庭用蓄電池と太陽光発電の連携はお互いの弱点を解消することができるのです。
昼間に発電した電気のうち余剰分を蓄電池に溜めておくようにすれば、日射が無く発電できない時間帯でも太陽光発電の電気が使えるようになります。
災害時に使用する場合は蓄電池の電気を使い切ってしまっても太陽光発電による電気で充電が可能になるため、長期間の停電でも生活のための電気を確保すできます。
既に太陽光発電を導入しているご家庭や太陽光発電とセットにして蓄電池の導入を考えているというのであれば、非常にオススメの住宅設備になります。
固定価格買取制度は太陽光発電設備の普及促進のために作られた制度で、発電した電気を電力会社が高額で買い取ってくれるのを政府が保証したものです。
住宅用太陽光発電に関しては高額な価格で買い取ってもらえるのが10年間と決まっていたわけです。
固定価格買取期間が終了してしまうご家庭は太陽光発電の売電価格が大きく下落してしまうことになり、太陽光発電の大きなメリットであった十分な売電収入が得られなくなってしまうのです。
この価格は電力会社から電気を購入する買電価格よりもかなり安く設定されているため、太陽光発電で創った電気は自家消費したほうがお得になります。
固定価格買取制度満了を迎えたご家庭では電力の自給自足を目指すために家庭用蓄電池の導入を推奨致します。
パワコンが故障
太陽光発電設備の一般的な耐用年数は20年程度とされています。
この耐用年数はパネル部分の耐用年数であり、パワコンなどの周辺機器はもっと早く故障してしまう可能性が高いです。
太陽光発電の心臓部分であるパワコンは10年程度が耐用年数で、このタイミングはちょうど固定価格買取制度満了を迎えるタイミングと重なるのでパワコンの交換タイミングで蓄電池の導入が非常にオススメ出来るのです。
近年販売されている蓄電池の中にはハイブリットタイプと呼ばれる機種が存在しており、このタイプの蓄電池であれば太陽光発電と蓄電池を1台のパワコンで制御できます。
太陽光発電のパワコン交換代を節約することができるという考え方もできるため導入コストの面でもお得です。
太陽光発電と蓄電池を使う体制が作れるため、電力の自給自足が目指せるという経済的メリットも得られます。
家庭用蓄電池に関しては災害時でも最低限の電力を確保できるといった非常用設備として注目された歴史が存在します。
家計にかかる電気代削減効果が非常に高い設備として紹介されるようになっており、省エネ設備としての地位を確立するようになっています。
蓄電池単体で考えた場合は設備自身が発電できるような物でもありませんし、誰にとっても経済効果が高いかというとそんな事はございません。安い夜間電力などを利用すれば蓄電池単体でも多少の電気代削減効果が得られる事はございます。
蓄電池の導入には多額なコストがかかるということを無視して購入した場合はは長期的に見れば大損してしまう危険があるのです。災害時の対策には必ず役に立つものですので節約効果なんて二の次だと考えている方であれば、迷わず蓄電池の導入を行えば良いと思います。
経済効果を目的として蓄電池の導入を検討しているのであれば既存の住宅設備は何があ理、月々の電気代がいくらぐらいかかっていて蓄電池の導入でどれだけ圧縮できるのかを把握しておかなければなりません。
蓄電池の導入コストを取り返すことができるのかシミュレーションしておくのがオススメですし、慎重に選びましょう!
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