エコキュートの井戸水対応メーカーを知りたい方へ
2021年1月10日
近年は非常に少なくなりましたが、現在でも生活用水や飲料水に井戸水を使っているところがあります。このようなところでは、従来エコキュートが使えないと考えられていました。
しかし、エコキュートの性能が年々アップするにつれて井戸水対応のエコキュートも発売され、このようなイメージもだんだん変わってきています。
ここでは、エコキュートの井戸水対応メーカーを知りたい方へ、エコキュートと井戸水の相性、井戸水対応のエコキュートを設置するときにチェックすること、井戸水対応のエコキュートで注意すること、井戸水対応エコキュートの設置の流れ、井戸水対応のエコキュート、井戸水対応のエコキュートの寿命を延ばす方法についてご紹介します。
Contents
エコキュートと井戸水の相性
基本的に、エコキュートは井戸水対応を考えたものではありません。というのは、井戸水の水質のためです。井戸水には、多くの硫化物イオン、マグネシウム、カルシウム、鉄分などが含まれていることがあります。
また、井戸水は、環境や地質によって変わるため、酸性・アルカリ性の強さを表すpH値が違います。高いpH値になるほど、アルカリ性が強く、塩素消毒力が下がることによって水質が悪くなります。
一方、低いpH値になるほど、酸性が強く、配管などが腐食しやすくなります。
ここでは、エコキュートと井戸水の相性についてご紹介します。
配管の穴開き
ヒートポンプ配管などに使っている配管としては、銅管があります。銅管は、相性が硫化物イオンと合わないため、配管に穴が開くことがあります。pHが酸性の井戸水は、金属が腐食するため、配管に穴が開くことがあります。
成分の固形化によるトラブル
多くのマグネシウムやカルシウムが含まれていると、成分が固形化して配管が詰まります。pHがアルカリ性になると、ミネラル成分が溶けにくいため、成分の固形化による配管の詰まりがさらに発生しやすいでしょう。
このような成分は、ヒートポンプユニットに内蔵されている水熱交換器のトラブルの要因にもなります。鉄分も、酸化鉄や水酸化鉄などに変わり、配管詰まりや汚れの付着の要因になります。なお、砂が混じっているときでも同じです。
井戸水対応のエコキュート
近年は、メーカーが研究開発した結果、井戸水対応のエコキュートが発売されています。井戸水を使うとエコキュートの水圧や水量が足りないともいわれていましたが、このようなこともほとんど解消されています。生活環境に影響されないでエコキュートが使えるのは、メリットがあるでしょう。
井戸水対応のエコキュートを設置するときにチェックすること
井戸水対応のエコキュートを設置するときは、前もってチェックすることがあります。
ここでは、井戸水対応のエコキュートを設置するときにチェックすることについてご紹介します。
井戸水を使っている住宅にエコキュートを設置するときは、まず水質検査を受ける必要があります。というのは、井戸水対応のエコキュートは、井戸水の成分濃度が非常に高いときには、成分が処理しきれないことがあるためです。そのため、井戸水対応のエコキュートを設置するときは、前もって水質検査を受ける必要があります。
水質検査の種類
水質検査は、主としてメーカーが行っています。メーカーの水質検査は、井戸水とエコキュートの相性を検査するものです。水質検査の結果によっては、保証されないこともあります。また、水質が良くないと、エコキュートの寿命が短くなることもあります。水質検査はメーカーによって検査基準が違うため、設置する予定のエコキュートのメーカーに頼みましょう。
なお、保健所の水質検査は、飲用に適しているかどうかを検査するものです。そのため、エコキュートとの相性を検査するものではないため、注意しましょう。しかし、井戸水を飲用するときや井戸水を店舗で使うときなどは、自主的に保健所の水質検査を受けるのがおすすめです。
水質検査の内容
水質検査では、次のような内容を調べて、井戸水の状態や性質を掴みます。
塩化物イオン、マグネシウム、カルシウムなどの量
鉄及び鉄化合物の量
pH値
なお、メーカーによって、エコキュートの井戸水についての水質検査の内容は違います。それぞれのメーカーの詳細な水質検査の内容は公開されていないため、自分でメーカー純正の検査キットを使っても判断することができません。専門の知識も必要であるため、水質検査はメーカーに頼む必要があります。
水質検査の方法
水質検査の方法は、井戸水を採水キットで採って、エコキュートのメーカーあるいは業者に送るようになります。この後は、検査データが報告され、使えるときは認定書を受け取って完了になります。なお、メーカーによって水質検査の方法は違います。
水質検査の費用の目安は、メーカーによって違いますが、基本的に15,000円~20,000円くらいになっています。また、基本的に自分で検査費用を負担するようになりますが、メーカーによっては水質検査によってエコキュートが使えないときには検査費用を負担してくれます。
水質検査についてのサービス内容は、それぞれのメーカーによって違うため、気になるのであればメーカーあるいは業者に問い合わせてみましょう。水質検査を受けないで井戸水でエコキュートを使うと、保証されないために注意しましょう。
業者の水質検査のサポート
水質検査を受けるのは面倒であると思う方も多くいるでしょう。このような方のために、業者ではエコキュートの設置のときの水質検査のサポートを行っています。
例えば、ダイキンのエコキュートの水質検査の費用は、20,000円(税込)に送料をプラスしたものです。業者が水質検査キットを手配し、自宅に送ってくれます。この後、自分で井戸水を採ってメーカーに送ると完了です。業者が、水質検査の結果を自宅に報告してくれます。そのため、地下水利用同意書兼水質検査依頼書の記載やホームページでの申し込みなど、面倒な手続きが省略できます。井戸水の水質が悪いときは、検査費用もかかりません。
エコキュートを設置するときの水質検査について知りたいときは、業者に問い合わせしてください。
井戸水対応のエコキュートで注意すること
ここでは、井戸水対応のエコキュートで注意することについてご紹介します。
イニシャルコストが少し高くなる
井戸水対応のエコキュートは、水道水を使う一般的なエコキュートよりもイニシャルコストが少し高くなります。工事費用はあまり変わりませんが、水質検査費用がかかるだけでなく、メーカー希望小売価格の本体価格が12万円くらい高くなります。
そのため、一般的なエコキュートに比較して、イニシャルコストを回収するまでに時間が少しかかるでしょう。
エコキュートを設置するまでに少し手間がかかる
井戸水対応のエコキュートは、水道水を使う一般的なエコキュートと違って、水質検査が必要になります。水質検査の結果が出るまでに数日間かかることもあるため、エコキュートを設置するまで少し手間がかかります。
なお、業者では井戸水対応のエコキュートの水質検査をサポートしていますが、自分で井戸水を採ってメーカーに送るような作業は面倒と思うかもしれません。そのため、井戸水対応のエコキュートは、設置までに少し手間がかかると考えておきましょう。
井戸ポンプがトラブルになることもある
現在、吐出する水量が一定でない、圧力スイッチ式の井戸ポンプを使っているときは、注意する必要があります。というのは、エコキュートを設置した後に水量が少なくなったり、水圧が低くなったりすることがあるためです。
このようなことを避けるためには、圧力・流量の変化に対応するインバータータイプの井戸ポンプがおすすめです。
しかし、インバータータイプの井戸ポンプの交換費用は、浅井戸用で4万円~10万円くらい、深井戸用で100万円近くになるでしょう。井戸水対応のエコキュートを交換するときに、同時に井戸ポンプも交換するのであれば、井戸ポンプの交換費用も考えておく必要があります。
井戸水対応のエコキュートの設置の流れ
ここでは、井戸水対応のエコキュートの設置の流れについてご紹介します。
井戸水対応のエコキュートを初めて設置するケース
井戸水対応のエコキュートを初めて設置するときは、水質検査を受けた後に設置場所の選定、基礎工事、配管工事、電気工事を行います。設置場所の選定では、狭い設置場所など、エコキュートを設置するのが難しいときには業者とすり合わせする必要があります。
狭い設置場所のときは、周りの環境にも配慮する必要があるため、慎重に選ぶ必要があります。なお、狭い設置場所に適した薄型タイプのエコキュートもあります。
設置場所が決まると、基礎工事、配管工事を行います。基礎工事では、砂利を敷いたり、コンクリートを流し込んだりして、安定した土台を作ります。そして、給水配管、給湯配管、追いだき配管、ドレン排水配管などの配管工事や電気工事を行うと、工事は2日間くらいで完了します。
後は、エコキュートについての注意やリモコンの使い方などの説明を受けると、すぐに使うことができます。
既設のエコキュートから井戸水対応のエコキュートに交換するケース
既設のエコキュートから井戸水対応のエコキュートに交換するときも、水質検査が必要です。というのは、交換するエコキュートのメーカーが同じでも、井戸水対応のエコキュートに適さない水質になっていることがあるためです。
業者が既設のエコキュートから井戸水対応のエコキュートに交換するときの流れは、次のようになります。
業者に問い合わせすると、電話、メール、LINEで、顧客の要望を聞きます。このときに、欲しい機種があれば、概算の見積りを提出してくれます。この後、現在使っているエコキュートの型番、土台などの写真を送って、追加費用があるかどうかをチェックすると、正式な見積もりが提出されます。また、写真がないときは、現地調査を行います。
見積もりに納得すると契約になり、設置するスケジュールと井戸水対応のエコキュートの在庫を確保します。井戸水対応のエコキュートの交換時間は、6時間くらいになります。
井戸水対応のエコキュート
井戸水対応のエコキュートは、メーカーによって性能や価格が違います。
ここでは、井戸水対応のエコキュートについてご紹介します。なお、業者によっては井戸水対応のエコキュートを取り扱っていないことがあります。そのため、前もって業者に問い合わせをしましょう。
パナソニックのエコキュート
パナソニックのエコキュートは、2011年4月以降、全ての機種が井戸水対応になっています。そのため、水質検査さえ受かるとエコキュートが自由に選べるという他社にはないメリットがあります。
また、井戸水を使うのが認められたときは保証期間が3年間になり、水質が要因と考えられる水熱交換器の詰まりなどが発生したときはパナソニックのオリジナルサービスで性能が確保されます。
しかし、水質の変化によってエコキュートの水熱交換器の詰まりが発生したと判断されたときは、再度水質検査を行うことがあります。再度の水質検査の費用は別に発生しませんが、沸き上げ温度の上限を低めに設定されることがあります。
なお、パナソニックのエコキュートのおすすめの機種は、NSシリーズのスタンダードクラスの貯湯タンクの容量が370LのHE-NS37LQS、貯湯タンクの容量が460LのHE-NS46LQSになります。いずれも現行の人気の機種であり、スタンダードクラスということでも多くの便利な機能が搭載されており、パナソニックのエコキュートの中でもコストパフォーマンスはトップクラスのものになります。
ダイキンのエコキュート
ダイキンのエコキュートは、パナソニックのエコキュートと同じように、全ての機種が井戸水対応になっています。井戸水が要因とされるエコキュートの閉塞や詰まりなどのときは保証期間が3年間になり、これ以外の不具合や不調のときはエコキュートの基本的な保証が適用されるようになります。
ダイキンの井戸水対応のエコキュートは、2019年に発売された薄型パワフル高圧タイプのものです。従来の薄型エコキュートは、年間の給湯保温効率などが一般的な角形タイプのものに比較して低いといわれていました。
しかし、最新タイプの薄型パワフル高圧タイプのエコキュートは、飛躍的に給湯保温効率も省エネ性もアップしているため、他社の薄型タイプのものと比較してもトップクラスになっています。
薄型パワフル高圧タイプのエコキュートとしては、貯湯タンクの容量が370LのEQ37XFTV、貯湯タンクの容量が460LのEQ46XFTVなどがあります。井戸水を使っており、設置スペースが狭いなどのために交換を諦めていたときは、ダイキンのエコキュートがおすすめです。
日立のエコキュート
日立のエコキュートは、井戸水対応のものから選ぶようになります。簡易水質チェックキットを使った水質検査が、エコキュートを設置するための必須条件になっています。他社のときは、ほとんど井戸水を採るのは業者に頼みますが、日立は簡易検査キットを使って、自分で井戸水を採るようになります。
そのため、他社よりも水質検査費用が大幅に安くなることがメリットです。しかし、水質検査は専門性が必要なものであるため、自分で上手く井戸水が採れるか心配なときは、十分に検討する方がいいでしょう。
井戸水対応のエコキュートについては、井戸水などの硬度が高めな水に対応できる「ナイアガラタフネス」があります。「ナイアガラタフネス」の中でも、貯湯タンクの容量が370LのBHP-FW37WDや貯湯タンクの容量が460LのBHP-FW46WDなどがおすすめです。「ナイアガラタフネス」は、腐食の防止や配管の詰まりに注力しているだけでなく、比較的長めな5年間の保証期間になっています。
長府のエコキュート
長府は、あまり耳にしたことがないかもしれませんが、本社が山口県下関市にある住宅設備メーカーです。エコキュートのシェアはそれほどありませんが、信頼性が高いメーカーになっており、実際には「長府の製品が一番」という多くのユーザーもいます。
長府も井戸水対応のエコキュートがありますが、延長保証に入りたいときは、水質検査を再度受ける必要があります。また、井戸水対応のエコキュートといっても、使うためには「水道法に基づいた飲料水の水質基準」をクリアする必要があり、万一クリアできないときは使えなくなります。
しかし、もし他社の水質検査をクリアしたときは使用が認められることもあるため、気になるときは長府以外のメーカーに、水質検査を一度頼んでみるのがおすすめです。長府のエコキュートの中では、高性能なフルオートタイプの貯湯タンクの容量が370LのEHP-3704BX-I、貯湯タンクの容量が460LのEHP-4604BX-Iがおすすめです。
井戸水対応のエコキュートの寿命を延ばす方法
エコキュートの寿命の目安は一般的に10年間~15年間くらいですが、井戸水対応エコキュートは使い方によっては寿命が短くなることもあります。
ここでは、井戸水対応のエコキュートの寿命を延ばす方法についてご紹介します。
井戸水対応のエコキュートの寿命を延ばすためには、砂こし器、インバーター式ポンプを取り付けましょう。井戸ポンプに砂こし器を取り付けると、砂の混入を防止することができ、井戸ポンプのトラブルや配管の詰まりを防止することができます。井戸ポンプは、シャワーの水圧が変わるのを防止するインバーターポンプがおすすめです。
井戸水対応のエコキュートを設置するときは、水質検査に受からないと、保証されないことがあります。そのため、井戸水対応のエコキュートの交換を検討するときは注意しましょう。水質検査に受かると、メーカーあるいは業者の保証に入ることができます。
ここでは、井戸水対応のエコキュートの保証についてご紹介します。
エコキュートの保証としては、メーカーのものと業者のものがあります。メーカーの保証は、メーカーや部品によって違いますが、無償保証期間が1年間~5年間になっています。メーカーの無償保証期間内のときは、エコキュートの修理や部品交換などが無料になることがあります。
しかし、メーカーの無償保証期間の1年間~5年間は短いと思う方も多くいるでしょう。メーカーの一部は有料で保証期間を8年~10年に延ばすことができますが、多くの業者も有料で保証期間を8年~10年に延ばすことができます。保証内容がそれぞれ違うため、自宅に適したものを選びましょう。
なお、業者では、有料の10年の延長保証を提供しているところもあります。無償修理規定内のトラブルのときは、修理費用(出張費、部品代を含む)が無料になり、自分の負担は全くありません。部品代と修理費用は100%を保証しており、延長保証期間中は修理が何回でもでき、修理費用の上限もありません。
また、修理は24時間365日コールセンターで受付しており、業界最高レベルの保証内容で顧客をサポートしています。
まとめ
ここでは、エコキュートの井戸水対応メーカーを知りたい方へ、エコキュートと井戸水の相性、井戸水対応のエコキュートを設置するときにチェックすること、井戸水対応のエコキュートで注意すること、井戸水対応エコキュートの設置の流れ、井戸水対応のエコキュート、井戸水対応のエコキュートの寿命を延ばす方法についてご紹介しました。
エコキュートのマーケットを全体的に見ると、井戸水対応の機種はまだ多いとはいえなく、水質検査が必要というようなこともあります。しかし、いずれのメーカーのエコキュートも性能が年々アップしており、井戸水対応の性能など、さらに便利になるでしょう。
業者は、井戸水対応のエコキュートの交換を行っています。井戸水対応のエコキュートを検討するときは、業者に相談しましょう。業者は、井戸水対応のエコキュートを選んでくれるだけでなく、丁寧に水質検査のサポートなども行ってくれます。
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